もうひとつ、お話ししてもよろしいでしょうか。

『ヤマト運輸』の社員が約1万人います。
そのなかで、
震災で亡くなられた方は5人でした。
そうですか。
勤務中に亡くなられたのは1名でした。
あとの4人は、
勤務時間外で自宅にいらしたときなどに
亡くなられています。
つまり、
ヤマトの制服を着たドライバーが
現場で亡くなったのは、1名なんです。
もちろんよろこぶべきことではありません。
ただ、津波の押し寄せてきた現場で
あれだけの人数が働いていながら、
犠牲者が1名だったという事実。
これは奇跡的な数字だと、ぼくは思っています。

それぞれがばらばらに逃げたのかというと、
決してそうではなかったんです。
全壊と半壊をふくめて20店ほどあります。
その、なくなったセンターの
ほぼすべてのセンター長は、
津波警報が出てから
いったんセンターに戻っています。
戻って、
そこで事務の女性とか、
他の社員を逃がして、避難させて、
それから最後に、
自分が自家用車で逃げているんです。
ぎりぎりの行為なんでしょうね。

そこまで津波が来ています。
でも、逃げ切っているんですよ。
助かっている。
なぜ、助かったのか。

道のつながりはもちろん、
どういうところが避難場所かも知っている。
かんぜんに地元の企業なんですね。

われわれは「地元」の集約なんです。
でもこれは、
ニュースになるネタでは、ないんですよね。
助かったっていう話は、
あまりニュースにならない。
奇跡的にすごいニュースですね。
当初は安否確認がとれない状況が
1週間ぐらい続いていたので、
その段階でぼくは
二桁以上の犠牲者を覚悟しました。
ところが、
ほとんどの社員が逃げていた。